いやな目にあったら読む本 - 読書メモ

こんにちは。だいきらいなやつに復讐したいと思いませんか?突然何を言っているんだという話ですが、そんな人にぴったりの本があります。ぜひ読んでみてください。

この記事はネタバレありなので、それが嫌な人は書籍情報以降は読まないでください。

大きらいなやつがいる君のためのリベンジマニュアル

  • 著者: 豊島ミホ
  • 出版社: 岩波書店
  • 出版日付: 2015 年 05 月 01 日
  • ISBN: 9784005008056
  • ページ数: 199

著者の変化

この本は、著者の逆境的体験と、人生を通じた対応の変化が描かれます。著者は最初、加害者から受けとったメッセージを心に留め、毒を返すことを誓いますが、その生き方によって地獄の底とガチの幻覚を味わって苦しみます。しかしやがて、全面的に相手が悪くて自分は全く悪くないことに気づき、自分ルールで自分のために生きることを誓います。

前半

前半では、著者が体験した逆境的環境が描かれます。指導者は集団を低コストに運用するのが仕事であり、個人の尊厳を確保する役には立ちませんでした。著者はそこから「あなたが傷つけられるのは当然のことだ」というメッセージを見出し、毒を返すことを誓います。

  • 著者は学生のとき、非人間的な扱いを受け、身体に症状が現れ、保健室登校を始めた。著者に求められたことは、「自分側が変わること」だった。
  • なぜ被害者が環境への適応を求められるのか。それはそのほうがその環境の指導者にとって低コストだからである。適応すべき価値のある環境であるかは顧みられない。「気にするな」という言葉はあまりにも容易い。
  • 指導者からの「気にするな」という言葉からは、二つのメッセージを見出すことができる。
    • あなたは他者と平等ではない。あなたは他者より価値が低いので、蔑まれて当然である。
    • どこに行っても状況は同じである。それは、あなたに価値がないのが原因だからである。なので、あなたが変わるべきだ。それができないのであれば、いつまでも泣いていろ。
  • 著者は、復讐を誓う。正しさと強さを手に入れ、勝利せねばならない。

ルールの転換

後半で、著者はいままでの他人ルールな生き方を改め、自分ルールで生きることを誓います。また、自分は不当に傷つけられていたことに気づきます。

  • 著者は、小学校のドキュメンタリーを見て、文化祭の共同作業を完遂していることに驚愕した。自分がいた、上下関係に分かれている、とても共同体とは呼べない集団は、小学生以下のバカどもであった。あれらは、決して正しくて強い勝ち組などではない。自分は、自らの適切な判断のもと、あそこにいかなかったのだと気づいた。
  • ふたつ約束を立てた。
    • 誰かのルールに乗っからないこと。認められるとか認められないとか、そういうことに自分の行動の基礎を置かないこと。
    • やりたいことを、素直に、もう少し根気強くやること。
  • 自分は不当に傷つけられており、それに怒る資格があることに気づいた。自らの中に原因を見出す必要はない。
  • 自分が所属していたグループは、本当に「下」「負け組」グループだったか?違うのではないか?むしろ、最も価値のある場所ではなかったか?
  • 「自分ルール」で生き、「好きなことをして好きな人と付き合える場所」を目指さねば、地獄の底とガチの幻覚を見ることになる。

現在

著者は最後に、現在の状況と逆境への対応をまとめています。

  • 著者は現在、憧れていた漫画雑誌に漫画家インタビュー記事を掲載している。実は、いちどは漫画家を諦めたものの、拾ってくれたのである。
  • 学校は極めて特殊な世間で、「どこに行っても同じだ」というのは致命的な誤りである。
  • 縁切りが重要だ。
    • 自分にとって有害なやつは「有害なやつ」以上でも以下でもない。
    • なぜ害されたか考えそうになったら止める。
    • 悲しければ泣く。つらいと言える相手がいたら言う。
    • 相手を変えようと思わない。相手との接点を切る。
  • 相手が悪い。悪いやつからは全力で逃げろ。
  • 自分が大事。自分の判断が大事。無条件に自信を持っていい。

感想

いや、耳が痛いのなんのって。読んでて辛いところはかなり飛ばしたけれども、扱っている話題そのものが辛い。しかし、最終的に提示された行動規範にはほっとした。著者、ここまで来れてよかったね……。

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