三体X 観想之宙 - 読書メモ

  • 著者: 宝樹
  • 出版社: 早川書房
  • 出版年月日: 2022 年 07 月 20 日
  • ISBN: 9784152101334
  • ページ数: 343

あらすじ

第一部 時の内側の過去

  1. 青色惑星紀元 2 年、雲天明は自身が三体文明と取引して、結果的に三体文明に与してしまったことを艾 AA に告白する。
  2. 雲天明は自身が出会った<光明の霊>とかつて宇宙全体が<エデンの園>であったこと、それを壊した<潜伏者>について知ったことを回想する。
  3. 艾 AA は、自分の前世(遺伝子の提供者をそう呼ぶ)が残した手紙と自分がそれに感情を動かされて行動したことを告白する。前世のウェイウェイは雲天明と幼少期に出会っており、星を購入するときに再会している。

第二部 茶の湯会談

  1. 寿命を迎えた艾 AA の後を追う雲天明。しかし霊によって彼は永遠の命と潜伏者を見つけ出す使命を与えられる。
  2. 小宇宙に招かれ、管理システムに智子の姿を与える。智子は潜伏者と霊の戦争について語る。雲天明はエデンの園状態の宇宙には時間がなく、潜伏者は時間を得るために次元を減らしていることを指摘する。智子は、エデンの園が復活すればその滅びまで再生され、宇宙はそっくりそのまま繰り返すと言い、あなたにとってひとつの時間に意味があるなら、繰り返し全てに意味があると説く。
  3. 雲天明は納得し、潜伏者を探す捜索者となり、旅立つ。彼は帰ることなく、智子は程心たちを迎える。

第三部 天萼

  1. 長老となった歌い手は王に呼び出される。王宮は壊滅しており、王は間も無く死ぬという。死の天使の物理法則改変攻撃により重力定数が変更され、星淵へと落ちていく。星淵属は滅ぶ。
  2. 最後のとき、歌い手と王の紅は創造の神が残した歌の意味を理解する。創造の神は王に永遠の命を与えたが、それは滅びを見守らせるためだった。神は文明に時間を与えた。その内容を全宇宙へ放送し、生涯を終える。
  3. 潜伏者は囮を張っていた。王の放送などである。だが、捜索者は次元反転に見せかけた二次元化を仕掛け、囮であることを見破り、座標を特定する。捜索者は静かに祝杯をあげ、プロヴァンスへと向かう。

終章<コーダ> プロヴァンス

  1. 雲天明はプロヴァンスで三人を待っていた。AA のクローンとともに。彼らは再開する。霊が宇宙を真空崩壊させるために、だれかが手助けしなければならなかった。ディオレナは残り、雲天明は生き残ったことを説明する。
  2. 智子は 5Kg のエコスフィアを残させた理由を明かす。再生した宇宙に変化をもたらすためだった。程心は憤慨し、関一帆とともに去る。雲天明は新宇宙の日の出を目にする。
  3. 新宇宙にて、雲天明は智子と共に居た。智子は二つの任務を雲天明に教える。次の宇宙の再生のために変化をもたらす方法を探らなくてはならず、超膜上のほかの大宇宙に行くこと。また、文明の発展に影響を与えない程度に、前宇宙の記録を公表すること。『地球往時』「第一部 三体」と入力し、物語は終わる。

全体のまとめ

  1. 雲天明は AA に、三体文明に与してしまったことと出会った霊について告白する。AA は雲天明に、前世(遺伝子の提供者)が残したメッセージに動かされたこと、前世のウェイウェイは雲天明と幼少期に出会っていることを告白する。二人は年老いるまで暮らし、子を残さず、死んだ。
  2. 雲天明は霊によって蘇生され、智子を介して伏者を捜索する任務を与えられる。潜伏者は囮として「星淵属」を滅ぼしてメッセージを発信させる。雲天明は囮に乗ったふりをして見破り、勝利する。かくして、宇宙の再生が運命づけられる。
  3. 智子らと再開する雲天明。智子は 5Kg のエコスフィアを小宇宙に残していた理由を明かす。再生した宇宙に変化をもたらすためである。程心は憤慨し、決別する。新宇宙にて、智子に、雲天明はほかの大宇宙に行く任務と、前宇宙の記録を公表する任務を告げられる。『地球往時』「第一部 三体」と入力し、物語は終わる。

感想

俗っぽすぎて劉慈欣風では全くないけれど(ネットで生まれたファンアートなので当然だ)、わりと楽しめた。第一部の AA による告白は、劉慈欣的なロマンチックさがあってお気に入り。程心に関する掘り下げもあって解像度が上がった。また、第三部も、いままで謎だった歌い手を掘り下げてて楽しかった。文句があるとすれば終章。程心を第一部であれだけ掘り下げたのに、そんな反応なんだ…って思った。人によっては気に入らないところもあるかもしれないけれど、『三体』ファン必見の二次創作だという点は揺らがないのでオススメ。

Back Link