三体 - 読書メモ
- 著者: 劉慈欣
- 出版社: 早川書房
- 出版年月日: 2019 年 07 月 21 日
- ISBN: 9784150124342
- ページ数: 447
あらすじ
この小説は非常に濃いので、3 章ずつメモすることにした。
1 沈黙の春
1~3
- 1967 年、中国で、理論物理学教授の葉哲泰が、相対性理論などの資本主義圏で研究されていた理論(反動的学術権威)を講義に含めたことが紅色連合のかんに触ったため、批闘会により殺される。
- 2 年後、大興安嶺山脈で、軍人をしていた葉哲泰の娘・葉文潔が、『沈黙の春 』を元にした抗議文を代筆したため、反動的思想を疑われたため、裁判で有罪を受けることが決まる。
- 紅岸の国防科学研究基地で、刑罰を受ける替わりに極秘プロジェクトに参加することを提案されたため、これに参加すれば一生を静かに暮らせると思ったため、参加した。
2 三体
4~6
- 現代、中国で、ナノマテリアル開発者の汪淼が、次々と自殺した科学者たちが所属していた「科学フロンティア」なる組織の調査のため、国際的な軍事関係者が集まる「作戦司令センター」の会議に呼ばれて、科学フロンティアの潜入を要求される。
- 丁邸で、死んだ楊冬の交際相手・丁儀が汪淼に対して、ビリヤードを例にいま発生している不条理な現象を説明する。誰かが科学を殺している。誰が?
- 汪淼が、写真に写る 1200 時間のカウントダウンを目撃したため、申邸にて、申玉菲(シェン・ユーフェイ)に相談したところ「ナノマテリアル研究を止めろ」と言われたため、研究を停止する。三日後に再開する予定で、申玉菲から「全宇宙が(宇宙背景放射によって)あなたの為に瞬く」と予言される。
7~9
- 汪は申の勧めで VR ゲーム「三体」をしている。規則の無い世界で、気候がランダムな乱紀と規則正しい恒紀が不規則に繰り返され、最後は極寒の季節が訪れ文明は崩壊する。
- 汪は葉邸で葉に宇宙背景放射を観測する施設を紹介してもらう。楊冬の幼少期について「バッハの音楽に美しい構造を見出すが、世界が単純すぎて生きる支えを失ってしまった」「女は水のように何があっても迂回して流れていくべきなのに、教育を誤った」と言う。
- 国家天文観測センターで、天文学者沙瑞山と共に、人工衛星 COBE を使用して宇宙背景放射を観測すると、モールス信号でカウントダウンを伝えてきた。
10~12
ここからは、2 章ごとに物語が進む法則があるようだ。
- 史強に酒をおごわれて救われる。「不可思議な出来事には必ず裏がある」「非科学的な現象には黒幕がいる」が究極の法則。
- 三体で、二層の球殻理論を提唱するものが現れるも外れる。葉が昔話を始める。
13~14
- 40 年前、紅岸基地で、葉は、才能を発揮したため、地球外生命探査について知ることになる。
- 時が経ち、プロジェクトはやがて衰退していく。
15~16
- 三体で、太陽の運行は三体問題と符合することがわかる。三体問題は三つの同じ質量と体積の惑星がどのような運動をするか予測できるか、と言う問題である。レベル 2 に移行する。
- 魏成が、三体問題の研究をやめるよう脅迫される。また、申玉菲から続けるよう脅迫される。申玉菲は殺害される。潘寒が第一の容疑者。
17~18
- 三体で、三千万の兵を使用してコンピュータ陣形をつくり三体問題を計算する。太陽は三連星となり、無重力状態となって文明は崩壊する。一定のレベルに到達したため、オフ会へ誘われる。
- オフ会会場の喫茶店で、主催の潘寒により、三体は実在の地球外文明をモデルにしていることが明かされる。人類は自ら革新できないという仮定のもと、地球外文明を他者として革新を促す「同志」が募集される。
19~20
- 三体で、惑星は分裂し、太陽の運行の予測は不可能であり、太陽の定期的な膨張によって文明は滅びることが判明する。
- 三体で、人々は他の惑星を求めて旅立つ。
2 三体 まとめ
- ナノマテリアル研究者の汪淼は、作戦司令センターが率いる科学フロンティアの調査に協力する。
- 超常的なカウントダウン・メッセージにより、ナノマテリアル研究を止めるよう脅迫される。
- ゲーム「三体」により、地球外生命体がいかにして宇宙進出をしたか描かれる。潘寒は、彼らを利用して人類に革新を促すつもりのようだ。地球三体協会の集会の広告が出る。
3 人類の落日
21~24
- 汪は地球三体協会の集会に出席する。潘寒は殺人を犯したため、組織が露呈しかねないため、粛清される。葉が首魁であった。
- 40 年前、紅岸基地で、葉は、太陽を増幅装置としてカルダシェフ・スケール ii のエネルギー量でメッセージを送ることができることに気づき、実行する。
- 9 年後、「返信するな。座標を特定され、侵略される」というメッセージを受け取る。葉は「人類は自らを律せない。他者が必要」という仮定のもと返信する。
- 史強は警察として地球三体協会に突入し、核爆弾を処理するも、放射線障害を負う。葉は逮捕される。
25~28
- 40 年前、葉に、地球外から高度な文明を招き入れる理想ができる。
- 葉は、メッセージを受信したことが雷に露呈したため、雷と、共にいた夫を殺害する。
- 植林をしていたエヴァンズは、木を伐採するような世界すべての存在に無力を感じる。葉の話を聞き、地球三体協会を築く。
29~30
- 現在、地球三体協会には三つの派閥がある。降臨派と救済派と生存派である。
- 三体世界は地球に 2 つの粒子を送ったという。粒子が到達したとき、地球文明は滅ぶ。
31~33
- 三体世界からのメッセージを奪う為の作戦、ナノワイヤーを使った古筝作戦により、降臨派の船ジャッジメントデイ号はスライスされる。
- メッセージから三体世界での出来事を読み取る。三体人は地球文明の加速度的な発達を危険視し、対策を講じる。ふたつの陽子の 11 次元構造を 2 次元に展開し、回路をエッチングして折りたたむ。陽子はコンピュータとなり、光センサを感光させる「手品」をする。これにより基礎研究の撹乱を狙う。
34~35
- 史強から汪と丁は「虫は人間に技術で劣るが負けていない」と勇気づけられる。
- 葉は紅岸基地跡地の夕日を見て「人類の落日」と言う。
3 人類の落日 まとめ
- 葉は地球外から高度な文明を招き入れるため、地球外からの警告メッセージに返信する。
- 三体人は惑星外生命探査を行なっていたが、返信に気づき、警告を返すものも現れる。しかし、戦争が始まる。コンピュータ陽子で基礎研究を妨害する。
- 史は落ち込む二人を勇気づけ、3 人は戦う決意を新たにする。
全体のあらすじ
- 40 年前、葉は、文化大革命で父を失ったため、静かに暮らすために、紅岸基地へ行く。
- 現代、ナノマテリアル研究者の汪は、超常的なメッセージによりナノマテリアル研究をやめるよう警告され、ゲーム三体を通じて三体世界について知る。
- 40 年前に地球へ三体艦隊が出発し、二つの粒子によって基礎研究が妨害されていることが判明する。史は落ち込む二人を勇気づける。
感想
かなり「エレガント」な SF 小説。読む前は色々心配してたけど、読み始めて全部霧散した。観察をし、仮説を立て…という科学しぐさをたくさん楽しめる。いろんな人がいろんな仮説を立てて力説してくれる。とても楽しい。あと、中国の暗い歴史とそれによる深い絶望の話もあった。後書読むと「問題意識を喚起させるつもりは無い」とわかるけど、初見の時はフィクションかと思うくらいショッキングだったので、そういうのが苦手な人は第二部から読んだ方がいいかも。